Cetus3Dのファンに自動オフ機能を追加する改造

背景

私が愛用している3DプリンタのCetus3Dについてですが、使っているうちに改善したい点が出てきました。
Cetus3Dのヘッドについている冷却ファンは3Dプリンタの電源を入れた瞬間から回転し、常に回り続けます。
プリント中はモータ音もあるからあまり気にならないが、プリント完了した後になんの動きもしていないのにファンの音が鳴り続けられるとかなり気になってしまいます。

そこで、プリント中のみファンが稼働するように改造することにしました。

方法

ファンを切るタイミングですが、サーミスタの温度が一定以上になった際にだけファンを動くようにします。
回路は単純に、サーミスタの電圧と可変抵抗の電圧をコンパレータで比較し、FETでファンをON/OFFします。
何の工夫もない回路ですね。

ヘッド部の基板を調べる

ヘッドの部分にサーミスタ、ヒーター、ファンに信号を分配している基板があります。

ここから分配していきたいので、詳細を確認します。

こんな感じでした。
コネクタは、

コネクタ番号 コネクタ名
CON1 フラットケーブルコネクタ16P(XG4C-1631で代用できた)
CON2&3 JST製のEHコネクタ3P
CON4&5 JST製のXHコネクタ4P

少し割高でしたがモノタロウで購入できます。

信号は、

コネクタ ピン番号 信号
CON3 1 FAN +(5V)
CON3 3 FAN -(GND)
CON5 3 Thermistor +
CON5 4 Thermistor -(GND)

サーミスタ出力

サーミスタの電圧は思いのほか低かったです。
そのため23倍増幅しています。

注意としては、増幅回路の入力インピーダンスが高くしていないとCetus3D本体のセンシングに影響を与えてしまうところです。
まあ、非反転増幅回路なら何の問題もないと思います。

ファン

ヘッドのファンは5Vで駆動しており、電流は200mA程度でした。
適当なFETでON/OFFできます。

電源

ヘッドの基板に来ている電源はファンの5Vのみでした。
最初はファンと同じラインから電源を引っ張ってくる予定でしたが、やはりいろいろと不都合があったので(ファンをON/OFFするたびに電圧降下で5Vが揺れる)、別ラインからとってくることにしました。


基板にbreathing lightと書かれたGND, 3.3V, 5Vとそろった丁度いいコネクタがあったのでこれを利用しました。

自作基板全体

回路についてはほとんど語ることはないですね。
念のためファンのラインとサーミスタのラインはフォトカプラで絶縁しています。

実際はここに書いた内容の10倍くらいは紆余曲折ありましたが、最終的には思い通りに動くものになりました。
気が向いたら、ヘッドについている分配基板自体を兼用した基板を作ってもいなと思っています。

感想

今回思ったことは2つ、

  • 制御と駆動の電源ラインは分けよう
  • ジャンパー線は鉄製のものを使わないようにしよう

はじめはファンと同じラインで回路を組んでいましたが、実際に回路を動かした後に不具合が見つかったり、そのたびに修正したりしていたので、作成にかなり時間がかかってしまいました。
初めから分けていればもっと早く作れていたと思います。

今回の作成に時間がかかった理由の一つに、ジャンパー線が鉄製だったことが幾分か含まれます。
Amazonで買った安物のジャンパー線が磁石にくっつく鉄製でした。
これのせいで電圧降下がかなり大きく発生し、デバッグに時間がかかりました。
もし、皆さんも磁石にくっつくジャンパー線を持っていたら、すぐさま投げ捨てましょう。