【Fusion360】 3Dプリントでサポート不要のねじ(ねじ山90度)コマンドを追加する
背景
3Dプリントで、強度は必要ないけどネジ構造を使いたいことはちょいちょいあります。しかし、通常のメートルねじはネジ山の角度が60度のため、オーバーハング角が60度になり、きれいに造形することが難しいです。
サポートをつけると、全面につくため、サポートを外すのも大変です。
ネジ山角度が90度の物があればプリントしやすく便利だなぁと思っていたところこんなツイートがありました。
<#Fusion360 知っていたら便利かもピック>
— tomo1230⚙AI.3DCreator (@tomo1230) 2020年9月28日
ねじコマンドのねじのタイプは
ThreadDataフォルダにあるxml定義ファイルを
手動で作成して追加することができます。
標準にない規格のものも追加が可能です!
詳細手順
Fusion 360でカスタムねじおよびねじ山の規格を作成するhttps://t.co/sni7zwZfIJ pic.twitter.com/jjLuY3MJEI
なんとFusion360では自作のねじを定義できるとのこと。
これであればいちいち螺旋でネジ山を作る必要なく、コマンド一発で90度ねじを作れます。
使い方
そんなわけで作ってみました。
ソースはここら辺。
Fusion 360でカスタムスレッドとねじの標準を作成する
Φ20のネジもコマンド一発でこの通り。
やり方は、
C:\Users\%ユーザー名%\AppData\Local\Autodesk\webdeploy\production\%一番新しいフォルダ%\Fusion\Server\Fusion\Configuration\ThreadData\
の中に所定のフォーマットに従ったxmlファイルを配置すれば、即座に反映されます。
私が作った90度ねじプロファイルのxmlは以下でダウンロードできます。
Fusion360用90度ねじプロファイル - Google ドライブ
このねじを使って作ったのがこちら
M45x2で作っていますが、サポートも必要なくまあまあきれいに作れたかと思います。
もちろん開け閉めも普通にできます。
基本的な作り方
xmlの要素の意味は下記を参考にしました。
【Fusion360】ユーザー定義のネジプロファイルを作る方法 | VOLTECHNO
今回は台形形状のねじを作るという前提で、ネジ形状に必要なパラメータは、
- Angle:ねじ山の角度
- Pitch:ねじピッチ
- MajorDia:ねじの最大径
- PitchDia:ねじのピッチ
- MinorDia:ねじの最小径
です。
物との対応は以下の図の通り
この情報をxml形式で記載すればそれでもう作れます。
細かい部分は既存のxmlファイルを見ればxmlの構造はだいたい分かります。
6万行近くなるxmlをどうやって作るかを悩みましたが、私はexcelで頑張りました。
微調整したい場合は
Fusion360用90度ねじプロファイル - Google ドライブ
の中のxmlプロファイル作成用.xlsx
を活用してください。
正直pythonあたりで簡単に組んでもよかったなぁとは思います。
おすすめポイント
3Dプリンタの精度によって雄ねじと雌ねじのすきまは調整できたほうがいいです。
それを実現するために、本来ねじ精度を規定するクラスのパラメータをオフセット量として使っています。
0~0.3mmまで0.05mm刻みで調整できるようにしています。
雄ねじと雌ねじですきまが大きくなる方向に調整できるようにしており、最大合計0.6mmのすきまのねじを作れます。