3DP製の滑り止めナットを作りたかった話

とある事情で3DP製の滑り止めナットを作りたくなりました。

雄ねじ側も3DP製で径は手で回すような結構大きいねじを前提としたものです。

いろいろ試した結果がこちら
No1から順に作ってて、最終的にNo6に落ち着いた形です。

No.1

No.1は3本張った部分を雄ねじの山に当てて摩擦で滑らないようにしたもの
ある程度ばねっぽくするような構造にしている。
問題としては、中空にする必要があること、雄ねじのやまに当てる都合上、1ピッチよりも高さを高くする必要があること、そしてあて面小さいのか、滑り止め力が小さく、いまいちだった。

No.2

No.2では、滑り止め力が小さかったので、3点から6点に増やした。
そうしたら今度は固くなりすぎた。 少し寸法を調整したものも作ってみたが、滑り止め力と寸法調整がシビアだったので、あまり実用性がないと判断して、方法を変えることにした。

No.3

No.3では、ねじでばね部を押し付ける荷重を変えられる構造にした。
悪くはないが、ねじ先端から雄ねじの山までの距離が短く、少しねじを回しただけで滑り止め力が大きく変動してしまった。
また、雄ねじ側も真円でできていないため、雄ねじを回している過程で滑り止め力が強くなったり弱くなったりした。
要因は雄ねじとの接触点が小さかったことと考えて、対策をした。

No.4

No.4では、ばねを2つ使うような構造にし、ねじの締め付けでばねの硬さを調整できるようにした。
荷重は変えやすくなったが、縦に入っている小さいばね部の強度が弱く、強めの摩擦にしようとすると、破損しそうになった。
太くすればよいかもしれないが、スペースと中空構造になっている都合上、あまり太くしたりは厳しかった。

No.5

No.5では、印刷しやすいようにと1筆書きができるような形状にしてみた。
しかし、予想を反して印刷に失敗してしまった。
ねじがばねを押す位置も悪かったのか、ネジを締めても余り摩擦が変わらなかった。

No.6

No.6では、中空構造では造形がいまいちということで発想を変え、2ピース構造にした。
一部ねじ部を別パーツにし、半径方向にのみ動くような構造にした。 そしてそれをねじで締めることで押しつけ具合を変えられるようにした。
これが一番うまくいって、適度な摩擦を調整するようにできた。
接触面積を増やしたことで、微調整が効き、雄ねじとの相対角度によって摩擦が変動しにくくなった。
造形難易度も下がった。
問題は、半径方向と軸方向のサイズがそこそこ必要な部分である。
私の用途ではM50のサイズを使う予定なので、ひとまずこれを採用する。

もっといい構造はありそうだが、皆ならばどういう構造を取るだろう?